春節祭作文コンテスト2017(日本語の部) 優秀賞

2017春節祭
作者:大橋 剛

多くの出店から吹き上がる食欲をそそる中華料理の香ばしい香り、ステージを彩る艶やかな出で立ちの舞踊家たちと美声の歌い手、高度な技術を披露する雑技団、熱心に見守る観衆・・・
誰が来てもここには、「你好!」(ニーハオ!)「谢谢!」(シェシェ!)と気軽に話しかけたくなる気さくなフレンドリーな雰囲気がここにはあります。

中日関係において、「戦略的互恵関係」という耳慣れない表現が使われて何年になるだろうか。私はこの言葉を聞くたびに違和感を感じ、また悲しい思いをして来ました。例えて言うなれば、「本当は嫌いで口もききたくないのだが、テストの時役に立つから取り敢えずお付き合いだけはしておこうか。」といった感じだろうか。要するに中日両者はここ数年外見は波風立たないようにしているが、何も踏み込んでおらず、関係は進展していない様に見える。

とにかく直接的、間接的でも良い。在日の中国人、そして地元の日本人が力を合わせて開催する1年で最大のイベントを見て、感じて欲しい。会場でパフォーマンスをする人達、裏方として運営を支える人達は殆どが日本社会に適応して生活されている方々です。彼らは母国中国を愛し、また同等に日本を愛しています。彼らにとって朋友(友達)とは中国人も日本人も一緒です。どんどん彼らと語り合って、触れ合って欲しい。イメージや想像の世界で判断するのでは無く直接触れ合う事によって色々なものが見えてくる。良いところ悪いところ、皆見えてくる。国家間・政治的な力は大きいが、草の根的な交流が無かったら何も始まらない。現にこうやって私達は共生している。異文化を経験し、相手側から自分達を見つめる事は、私達の成長・発展にとって不可欠だと思う。

各ブースを担当している中国人・日本人の生き生きした表情からは日本での生活に対する適応能力の高さを窺うことが出来る。勿論時には一個人として意見が対立する時もあるでしょう、喧嘩をする事もあるでしょう。一歩踏み込んで徹底的に討論することも必要でしょう。表面だけ取り繕っていても人間関係というソフトの部分が成熟しなければ草の根の交流も枯渇してしまう恐れもある。一つ一つ適切に誠意をもって対処していくことが大切だ。

昨今の両国の歴史観を鑑みても、人間の行為その物の動機・経緯を経験的に精査しなくては何も進歩しないのに、問題の焦点がデータに偏ってしまっている現状は大変悲しい事です。加害者と被害者には認識の大きなギャップがあると言う事を忘れてもいけない。人間の行為に対して冷静な分析と反省が無ければ歴史はいとも簡単に繰り返されるだろう。いつからこんな時代になったのか。
もしかしたら今が一番両国の歴史の中で殺伐としている時かもしれない。政治や経済状況が変化しても、中国と日本は「お隣様」という事実は変わらない。是非一度名古屋春節祭に来ていただいてこの中日両国が協力して作り上げた活力ある友好の雰囲気を肌で感じて頂きたく思います。
AY6A1942

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